Vol.14 心を動かす"歌力(うたぢから)"
さて、2011年を代表する一枚といえば、先ごろ開催されたアメリカン・ミュージック・アウォードで、「最も好きな女性歌手」「最も好きなアルバム」に選ばれたアデルの「21」で決まりといえましょう。
全世界で1,300万枚超のメガ・ヒットを記録、依然としてハイペースで売れ続けているモンスター・アルバムですが、そのヒットの主たる要因は楽曲の魅力、そして歌力(うたぢから)でしょう。
アデル初のライヴ作品:Live At The Royal Albert Hall(国内盤DVD+CD:BGJ-10140)には、"今が旬"の、その瞬間をとらえたアデルのパフォーマンスと、オーディエンスの凄まじいまでに熱いレスポンスが記録されており、アデルの、まさに"心を動かす歌力"が体感できます。
グラミー6部門ノミネートも発表されたアデルの熱い熱いライヴ作品、是非御覧ください。
さて、"歌力"といえば、前作が全世界で200万枚を売り上げる大ヒットを記録したソウル・クラシックス・カヴァー・シリーズ「Soul」の第二弾「Soul 2」(WPCR-14372)をリリースしたシールも、ミディアム/スロー・バラーディアーとして、その歌力が高く評価されるヴォーカリストです。
デビュー来の盟友:トレバー・ホーン、そしてデヴィッド・フォスターという前作同様のプロデユース布陣のもと、オリジナルをそのまま再録音したかのようなオーソドックスなサウンド・アレンジを施された「Let's Stay Together」(アル・グリーン)、「LOVE T.K.O.」(テディー・ペンダグラス)、「I'll Be Around」(スピナーズ)、加えて、ソウル・クラシックスとしては欠かせないモータウン・チューンズの中からチョイスされた「What's Going On」(マーヴィン・ゲイ)、「Ooh Baby Baby」(ミラクルズ)を、シールがエモーショナルに歌い上げます。
そんなシールが敬愛するヴォーカリスト、その"歌力"…というより"声力(こえぢから)"(と表現した方がハマるかもしれね)で古今東西のソウル・ミュージック・ファンを魅了し続けているヴォーカリストがスモーキー・ロビンソンです。
そのファルセット・ヴォイスは、ニック・ネーム:スモーキー(本名はウイリアム)とは真逆の形容詞:"シルキー"(シルクのように繊細)と賞され、歌う楽曲をすべて"ドリーミー・チューン"に変える唯一無二の声の持ち主、それがスモーキー・ロビンソン。
そのスモーキーが作り、歌った数多の楽曲の中でも、その魅力が最も発揮された楽曲が、今回シールがカヴァーした前出の「Ooh Baby Baby」といえましょう。
素晴しいミラクルズのコーラスとファンク・ブラザーズの演奏を従え、スモーキーがファルセット一本で引っ張る、まさにモータウン随一のドリーミー・チューン!
メロディーの魅力と併せて、あのボブ・ディランをして"アメリカの偉大な詩人"と云わしめた歌詞の素晴しさも持ち合わせるスモーキーの楽曲は、そのままモータウンの歴史、ひいてはアメリカン・R&Bミュージックの歴史ともいえましょう。
確かな"歌力"に基づいた"実力"でモンスター・ヒットを成し遂げたアデルの成功は、"歌力"をもつアーティストが再び脚光を浴びる、そんなシーンの流れを加速させることでしょう!
リリース情報
「Now And Then」
(2010年10月リリース:輸入盤)
ノラ・ジョーンズ「Dont' Know Why」のカヴァー、そして「Ooh Baby Baby」などミラクルズ時代のヒット曲の最新ライブ音源(6曲)を含む最新アルバム。
衰え知らずのスモーキー節!
「モータウン50~ザ・ベスト・オブ・モータウン ジャパン・エディション」
(2008年12月リリース、UICY-1434)
ミラクルズ名義のヒット曲「Going To A Go Go」や「涙のクラウン」他、スモーキーのペンによるテンプテーションズの大ヒット「マイ・ガール」、そしてもちろん、スティーヴィー、マーヴィン、ダイアナ、マイケル(ジャクソン5)の大ヒット・チューンを収録した"ヒッツヴィル"モータウン決定盤!