Vol.24 名曲満載のセルフ・カヴァー集で見事復活、ライオネル・リッチー!

‘12年上半期のアルバム・チャートですが、トップは言わずもがな、日本でも大ヒットを記録した007シリーズ最新作【スカイフォール】主題歌も話題となったアデル【21】でしたが、そのアデルに次ぐ2位を獲得したのは? 

意外といったら失礼かもしれませんが、なんと!ライオネル・リッチー【タスキーギ】でした。 

‘12年ソロ・デビュー30周年(キャリア45周年)を迎えた大ベテランの、ワン・ダイレクションやマドンナ新作らを抑えての堂々の2位獲得は、まさに見事な復活劇といえましょう。 

この【タスキーギ】という日本人にとっては聞き慣れないアルバム・タイトル、実はライオネルのホームタウンで、アラバマ州の一都市です。 

アラバマといえば…そう、カントリー・ミュージックの盛んなところで、州名をそのままグループ名にしたカントリー・バンドがいるほど、カントリー・ミュージックにおいてはアイコニックな州なのです。 

ライオネルといえば、コモドアーズ時代からモータウンのトップ・アーティストとして活躍していたため、カントリー・ミュージックとはおよそ結びつかないイメージですが、実は土地柄から幼少期よりカントリー・ミュージックも好んで聴いていたとの本人のコメントからわかるように、カントリー・ミュージックとは深いところで繋がっており、影響を受けていたようです。’80年に大物カントリー歌手:ケニー・ロジャースに提供した【レイディー】が全米1位の大ヒットとなりましたが、ライオネルとカントリーとをつなぐ糸の片鱗がそこに見えます。【タスキーギ】では、そんな自身のルーツを、コモドアーズとして、またソロ・アーティストとして放った自らの大ヒット・チューンをカントリー・シンガーとデュエットするという形で実現、ウイリー・ネルソンや、くだんのケニー・ロジャースといった重鎮から、大人気カントリー・ミクスチャー・バンド:ラスカル・フラッツやオーディション番組【VOICE】の審査員を務めて人気が爆発したブレイク・シェルトンといった気鋭のアーティストまで、幅広い年齢層のカントリー・シンガーとの共演を果たしています。 

しかもこのアルバム、単純に自身のルーツを具現化したデュエット・アルバムとしてのみならず、その入念に練られたマーケティング手法も話題となりました。なかなか元気が戻らないアメリカ音楽市場にあって、ここ数年でテイラー・スウィフトやレディー・アンテベラムなどの大スターを輩出するくらい元気なジャンル:カントリー・ミュージックは、いわば”おいしい”マーケット。日本からは想像もつかないくらいお茶の間レベルにまで名前が知れ渡っている有名カントリー・シンガーと、誰もが知っている自身の超有名ヒット 

曲をデュエット、この2つの強力なフックを武器に、この2要素が交わる層が主な視聴者と推測される通販専門テレビ番組に出演、結果、この戦略が見事にハマり、一晩で25,000枚もの予約を獲得、続いて翌週には米CBSテレビでこのアルバムに参加したシンガーとのデュエット・ライヴ番組が放送され、同時間帯最大の視聴者数を記録などなど、打つ策打つ策が当たり続け、あれよあれよという間に26年ぶりとなる週間アルバム・チャート1位を獲得の大ヒットとなりました。

ライオネル・リッチー復活劇の舞台裏には、このように緻密に練られたヒット化戦略がありました。参考になりますね!

それもこれも、ライオネルが書いた素晴しい楽曲という確固たるプロモーション・ツールがあってこそ、やはり最大の武器は良い楽曲、ということでしょう!

そんな名曲満載の【タスキーギ】、是非お聞きください!

リリース情報

☆ライオネル・リッチー『ベスト・デュエット~タスキーギ 』(UICO-1244、絶賛発売中)♪セイ・ユー、セイ・ミー (with ジェイソン・アルディーン)、♪ユー・アー (with ブレイク・シェルトン)、♪オール・ナイト・ロング (with ジミー・バフェット&コーラル・リーファー・バンド)など収録楽曲は全て大ヒット・チューン。日本盤には、クリスタル・ケイとのデュエットによる♪エンドレス・ラヴ を収録! 
☆LIONEL RICHIE【Tuskegee】(輸入盤)
♪ENDLESS LOVEをあのシャナイア・トウェインとデュエット!