Vol.3 宇宙飛行士のウェイクアップ・コールとして、そして米人気テレビドラマ:glee(グリー)のウィル先生によるカヴァーで話題、イズラエル・カマカヴィヴォオレが歌う「オーヴァー・ザ・レインボウ」

「オーヴァー・ザ・レインボウ~虹の彼方に~」と言えば大スタンダード・ナンバー、これまで沢山のシンガーによって歌われていますが、あえてこのメール・マガジンで取り上げた理由は、ハワイでイズ(IZ)の愛称で知られているイズラエル・カマカヴィヴォオレの歌うこの曲が、多くの人々の心を癒しているからです。
'39年のMGM映画『オズの魔法使い』でドロシー役のジュディー・ガーランドが歌い、アカデミー主題歌賞を受賞したこの曲、作曲したハロルド・アーレン、作詞したE.Y.ハーバーグの名前は知らなくても、このメロディーと詩の内容を知らない人はまずいないでしょう。
虹の彼方にかつて子守歌で聴いた幸せな場所がある…というわかりやすい内容ですが、この歌が感動を与えてくれる理由はその幸せな場所は遠くにあるのではなく”今あなたがいるお家がそこなのです”という意味を含んでいるからで、これは歌詞には歌われていませんが「オズの魔法使い」全体のテーマになっており、映画のエンディングでのドロシーの台詞「There is no place like home!」が総てを語っています。

さて、イズラエル(IZ)は、'59年ホノルル生まれ、'90年にソロデビュー、'93年に発表したアルバム『Facing Future』で、この曲は「この素晴しき世界~What A Wonderful World~」とともにフィーチャーされアルバムは全米で25位のヒットになりました。
彼は音楽とともにハワイを心から愛する人間としてハワイのハワイ人による自治を唱えていました。
彼にとっての幸せの場所は自分の生まれたハワイに他ならなかったのでしょう。
そんなIZ、'97年38歳の若さで亡くなりました。
葬儀当日、ハワイでは半旗が掲げられるなど、IZの人気がハワイ挙げてのものであったことがうかがえます。

そんな意味を含めてイズラエルの歌唱は多くの人に感動を与えています。 冒頭に書いたように、宇宙飛行士がウェイクアップ・コールとしてNASAにリクエスト曲のひとつとしてIZによるこの曲が取り上げられています、宇宙から見る地球に自分たちの家を感じたに違いありません。

その他、映画のエンディング・テーマやTVドラマにも本当の幸せを表現するために高い頻度で使用されています。 ショーン・コネリーが主演した「小説家を見つけたら」('00年)や、ブラッド・ピットが主演した「ジョー・ブラックをよろしく」('98年)、そして今大人気のFOXのTVシリーズ「glee」のシーズン1最終回でウィル先生がウクレレをもってこのIZヴァージョンをカヴァーしています。

これまで、『Over The Rainbow』が収録されているアルバム『Facing Future』は、日本では入手が難しかった作品ですが、最近ユニバーサル・ドイツが全世界の発売権を獲得、日本での発売が期待されます。

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