Vol.31 32年ぶりに来日する20世紀アメリカ音楽業界最後の大物~クインシー・ジョーンズ Vol.1

マイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』('79年)『スリラー』('82年)、そして『ウィー・アー・ザ・ワールド』('85年)など、音楽史に残る数々の作品をプロデュースしたクインシー・ジョーンズ。
 
”20世紀アメリカ音楽業界最後の大物”と称され、その名が知られるクインシーですが、一方で彼の音楽キャリアの全貌はあまり知られていません。
 
この夏、ピース・アーチ・ひろしまでのイヴェントで来日コンサートを行うクインシーのキャリアを、この機に紐解きご紹介いたします。
 
1.誕生から'50年代~アレンジャー
 
クインシー・ジョーンズ=クインシー・ディライト・ジョーンズ二世は、1923年3月14日シカゴで生まれました。
 
'47年シアトルに移り、12歳でトランペットをはじめ、ジャズに傾倒していきます。
特に彼の心を捉えたのは、当時流行り始めたビバップ。
これが生涯にわたり彼の音楽的ベースとなります。
 
14歳にしてサミー・デイビス・ジュニア、クラーク・テリー、レイ・チャールズとも親交をもつようになったクインシー。
シアトルのローカル・バンドで活動する傍ら、楽譜を読めるという理由で、'48年、あのビリー・ホリデイのシアトル公演のバック・バンドに抜擢されたことも。
 
'50年にはボストンの名門バークリー音楽院を卒業、'51年にニューヨークに移り、アレンジャーとしてキャリアをスタート、ほどなくブリル・ビルディング(ティン・パン・アレイ)の常連となったクインシーは、カウント・ベイシー、キャノンボール・アダレイ、トミー・ドーシー、ダイナ・ワシントンらのアレンジを請け負います。
ちなみに当時の同業者はジョニー・マンデル、ビリー・バイヤース、ドン・コスタ、サド・ジョーンズら。。
 
'53年ライオネル・ハンプトン楽団に入団、ブラスの仲間には、アート・ファーマーそして伝説のクリフォード・ブラウンがいました。
 
'55年、今でも多くの女性ジャズ・シンガーがコピーするヘレン・メリルの「帰ってくれれば嬉しいわ~You'd Be So Nice To Come Home To~」を含む名盤『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』のアレンジを手がけます。
 
'56年には、ディジー・ガレスピーと楽団を組み、国務省の仕事で世界をまわり、'57年にはフランスのバークレイ・レコードに依頼でジャック・ブレル、シャルル・アズナブールをプロデュース、さらにサラ・ヴォーン、ビリー・エクスタインのフランスツアーに参加、その手腕がバークレイのアメリカでの姉妹会社であったマーキュリーに伝わり、副社長兼プロデューサーに就任します。
 

2.'60年代マーキュリーのエクゼクティヴからPOP、映画音楽の世界へ
 
1961年、マーキュリー・レコードの副社長&プロデューサーに就任したクインシーは、'62年アメリカに上陸したボサ・ノヴァ・ムーブメントをいち早くとらえたアルバム『ソウル・ボッサ・ノヴァ』を制作、タイトル曲はスタンダードになりました。その後POPの世界に進出、'63年レスリー・ゴーアの「涙のバースデイ・パーティー」をプロデュースし、全米1位にしました。
 
縁故で持ち込まれたレスリーのデモ・テープを聴いた他のエクゼクティヴがNGの判断をする中、クインシーがただ一人レスリーとの契約にGOサインを出したのは「この娘はキーを外さない」がその理由でした。
 
マーキュリーの副社長を務める傍ら、フリー・プロデューサーとしてアトランティック・レコードでレイ・チャールズを手掛けるとともに、'64年の『質屋』を皮切りに映画音楽に進出、ハリウッドへの道が開けたクインシーは、その後、『冷血』『夜の大捜査線』『ゲッタウェイ』、テレビ映画『(鬼警部)アイアンサイド』など、35本以上のスコアを書いています。
 
'64年ヨーロッパで知り合ったフランク・シナトラからカウント・ベイシーとのアルバム『イット・マイト・アズ・ウェル・ビー・スウイング』のアレンジを依頼されます。このアルバムに収録された「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」のアレンジは伝説的なものとなり、その後この曲のアレンジの定番になっています。
 
'69年にはアーティストとしての活動を再開したクインシー、その年クリード・テイラーのレーベル:CTIに参加、『ウォーキング・イン・スペース』を制作します。
ジャズ、R&B、ゴスペル、ブルースが融合したこのアルバムは、折からのフュージョン・ムーブメントのバイブルとなった傑作で、グラミーを受賞。ちなみにアルバム・タイトルは”初めて月面に降りた宇宙飛行士がスペース・シャトルの中でフランク・シナトラの「フライ・ミー~」を聴いていた”というエピソードから付けられたそうです。
 
(続きは第二回で。。。)

リリース情報

☆クインシー・ジョーンズ 『Q:ソウル・ボサ・ノストラ』(UICY-15229 ¥2,600(Tax in.)
 ヒップホップ、R&Bシーンのトップ・アーティストが集結し、クインシーが手掛けた数々の名曲を新たなアレンジでレコーディングしたトリビュート・アルバム!『ギブ・ミー・ザ・ナイト』(オリジナル:ジョージ・ベンソン)、『P.Y.T』(オリジナル:マイケル・ジャクソン)などの名曲がコンテンポラリー・トップ・アーティストのパフォーマンスで蘇る!

☆クインシー・ジョーンズ『Q80~グレイテスト・ヒッツ』(UCCU-1391/2  2SHM-CD:¥3,000(Tax in.)クインシー生誕80周年を記念してコンパイルされた、まさに”Q極”のベスト・アルバム!
~来日公演情報~

 The 80th Celebration Live in JAPAN
(ピース・アーチ・ひろしま連携事業)
今年3月、80歳になったクインシーの生誕を祝い、その功績をたたえる日本公演が奇跡の実現!

7月31日 (水) 18:00開場 / 19:00開演
8月1日 (木)18:00開場 / 19:00開演
東京国際フォーラム ホールA
SS席 : ¥12,000 / S席 : ¥9,500 / A席 : ¥8,000 (全席指定・税込) 6月15日 (土) チケット一般発売開始
お問合わせ : DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:00〜19:00)

7月28日 (日) BLUE NOTE TOKYO¥25,000 (税込) 6月1日 (日) チケット一般発売開始お問合わせ : BLUE NOTE TOKYO 03-5485-0088来日公演公式サイト http://qj80.jp/