Vol.42 注目される企画アルバムのカタチ~おススメアイテムのご紹介!
注目される企画アルバムのカタチ~世界的な配信/ストリーミング時代を迎えた昨今の音楽市場において、求められる企画作品とは?
今年も多くの企画アルバムが洋邦のカタログからリリースされましたが、その多くはこの2~3年の流れであるヒット曲のカヴァー集またはコラボレート企画が多かったようです。
一方で、本格化するデジタル配信(ストリーミング)時代の最中にある今だからこそ求められるような内容のパッケージ作品が続々とリリースされ、注目をあびています。その幾つかをご紹介しましょう。
1.パーソナライズド・ラジオを先取りしたプロのプレイ・リスト
『ラジオの時代1967~1976年』(シリーズ全10枚)(PROT1080-4, QIAG1107509 /各2,000円)
お気に入りの曲が流れてくるのがデジタル配信のプレイ・リストですが、凝ったものはやはり人の手を使わざるを得ません。
これは日本の音楽シーンをリードしていた当時の深夜放送のヒット・チューンをそのままアルバムにしたもの。
深夜放送だからもちろん邦楽洋楽とりまぜ…なんですが、この”とりまぜ”を作ることに対しては、解決すべき難題が多く、これまで商品化されていませんでした。
ついにその難題を乗り越えリリースされたこのシリーズ、収録された楽曲は邦洋どころかジャンルも含め完全な”ごった煮”。
しかしながら、これがまさしくあの頃ラジオから流れてきた音楽、そしてあの頃の空気そのものなのです。
監修は今野文雄氏、当時深夜放送のメッカだったニッポン放送の協力で実現したシリーズです。
2.カヴァー・コラボ・アルバムを芸術作品に仕上げたプロデューサー”泉谷しげる”
『昭和の歌よ、ありがとう』(WTCS-1034 / 3,800円)
泉谷しげるがジャンルを超えた歌手たちと昭和の歌をコラボした作品。
形の上では、よくあるカヴァー&コラボレーション・デュエット・アルバムをとっているものの、どっこい本作は、昭和の歌謡曲をノスタルジックにデュエットするといったありがちな企画ではなく、プロデューサー”泉谷”が昭和という時代感覚を各々の歌で見事に具現化した作品に仕上っています。泉谷が選んだ歌手は大竹しのぶ、カルメン・マキ、佐々木秀美、手嶌葵、クミコ、中村中、森高千里、夏木マリ、八代亜紀、夏川りみの10人。それぞれの歌に”昭和”が歌い込められています。
泉谷しげるがジャンルを超えた歌手たちと昭和の歌をコラボした作品。
形の上では、よくあるカヴァー&コラボレーション・デュエット・アルバムをとっているものの、どっこい本作は、昭和の歌謡曲をノスタルジックにデュエットするといったありがちな企画ではなく、プロデューサー”泉谷”が昭和という時代感覚を各々の歌で見事に具現化した作品に仕上っています。泉谷が選んだ歌手は大竹しのぶ、カルメン・マキ、佐々木秀美、手嶌葵、クミコ、中村中、森高千里、夏木マリ、八代亜紀、夏川りみの10人。それぞれの歌に”昭和”が歌い込められています。
泉谷はこの作品で第55回日本レコード大賞”優秀アルバム賞”を受賞、キャリア初となるNHK紅白歌合戦への出場も決めました。
3.作家と歌手本人が選んだ究極のベスト・アルバム
『ビヨンド~平山みき オール・タイム・ベスト』(COCP-38267 / 2,940円)
1970年「ビューティフル・ヨコハマ」で鮮烈デビュー、翌’71年に発表した「真夏の出来事」が大ヒットした平山みき(当時:平山三紀)がこれまでに在籍した全レコード会社の協力を得て実現した初のオール・タイム・ベスト・アルバムです。
1970年「ビューティフル・ヨコハマ」で鮮烈デビュー、翌’71年に発表した「真夏の出来事」が大ヒットした平山みき(当時:平山三紀)がこれまでに在籍した全レコード会社の協力を得て実現した初のオール・タイム・ベスト・アルバムです。
デビュー当時から作曲家の筒美京平、作詞家の橋本淳氏の秘蔵っ子といわれた彼女、特に筒美氏は彼女のアルトでパンチのある声質と8ビートの表現力に優れたその卓越したリズム感に惚れ込んだといいます。
今回リリースされたベスト・アルバム、その選曲は曲を書いた筒美、詩を書いた橋本、歌唱した平山自身によるもの。自らの作品そして歌唱から選ぶという作業を通じて選曲されたこの作品、まさに究極の“ベスト”な選曲が期待されます。
さらに今回、筒美/橋本/平山チームでは、じつに34年ぶりとなる新曲「ビヨンド」も収録されています。
4.邦楽の名盤を文化として後世に伝える試み
『紀元貮阡年』(TYCN-89001 / 4CD+DVD / 14,980円)
ザ・フォーク・クルセダーズが1968年に発売したメジャー・ファースト・アルバム『紀元貮阡年』のデラックス・エディション。
ザ・フォーク・クルセダーズが1968年に発売したメジャー・ファースト・アルバム『紀元貮阡年』のデラックス・エディション。
この企画は、洋楽ではよく行われている一つのアルバムを徹底的に追及するコレクターズ・ボックス(たとえばポール・マッカートニー(&ウイングス)の『バンド・オン・ザ・ラン』やザ・ローリング・ストーンズの『メイン・ストリートのならず者』、ザ・フーの『トミー』など)の手法を、邦楽の名作で行ったもの。
その『紀元貳阡年』で1枚、また、アンダーグラウンド・アルバム『ハレンチ』にボーナストラック7曲を追加したアップデイト盤、シングル「イムジン河」に”イムジン河”カラオケを足した一枚の計3枚のCD、そして当時の貴重映像DVDやファン垂涎のブックレットなどを同梱したもの。
配信やストリーミングでは絶対に得られないレア・アイテムが魅力のボックスになっています。
本ボックスに続く企画も予定されているとのこと…楽しみですね。
以上、配信/ストリーミング時代にあっても、物理的なパッケージ=CDとして十二分な魅力を放つアイテムをご紹介いたしました。
聴きたい曲を聴きたい時に聴ける…配信の利便性に抗うことはなかなか難しいかもしれませんが、時にはレコード/CDショップに足を運び、じっくり“音楽を探す、見つける”、そんな時間を持ってみてはいかがでしょう?
きっと上記のような素敵なアイテムが見つかるでしょう!