Vol.12 薔薇と音楽

日本列島、桜もほぼ咲き終わり、いまは「はなみずき」「つつじ」がきれいに咲いていますね。
まさに春爛漫のこの季節、四季のなかでも最も良い季節ではないでしょうか?
そして5月…いよいよ『薔薇』の季節です。
エディット・ピアフの「ばら色の人生」、ベッド・ミドラーが主演した「ローズ」などなど、『薔薇』をテーマにした楽曲や映画は数知れません。
ところで、「ブルー・ムーン」「ホワイト・クリスマス」「テキーラ」「モナリザ」といったら何を連想しますか?
もちろん、どれも有名なスタンダード・ナンバーですね。でもなんと、ここに挙げた名前は、実はどれもとても有名な薔薇の名前なのです。
薔薇は大きく分けて“オールド・ローズ”と“四季咲”の2種類に分けられます。1867年フランスで“ラ・フランス”という園芸種が初めて開発されたことを契機に、それ以前の薔薇を“オールド・ローズ”、以後を“四季咲薔薇(モダン・ローズ)”と呼ぶようになり、その後欧米を中心に数多くの園芸種がつくられ、その一つ一つにイメージに合った名前が付けられたと、いう訳です。薔薇を作る人も作曲家も同じようにロマンティクな人が多いようで、音楽と同じ名前が数多く使われています。
ということで今回のThe Seasoning of Songsは『薔薇と音楽』にスポットを当ててお送りいたします♪



 ブルームーン



1. ブルー・ムーン

ブルーの薔薇を作ることがあらゆる園芸家の夢と云われ、いまだに青い薔薇はこの世にありません。この『ブルー・ムーン』は、純粋な青い薔薇ではなく、1964年にドイツで生まれた青みがかった白薔薇です。音楽の世界ではリチャード・ロジャースとロレンツ・ハートのコンビが’34年に書いたスタンダードとして有名です。最近では、ロッド・スチュワートがグラミー受賞アルバム「ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック Vol.3」(BVCM-31140)でエリック・クラプトンとカバー共演しています。



 セブンティーン



2. セブンティーン

“可憐”というイメージを言葉にするのは至難の業ですが、“セブンティーン”一言で万国共通そのイメージは簡単に伝わりますね。『セブンティーン』は1959年アメリカで作られた薔薇で、可憐なピンク色の花びらはまさに17歳のイメージそのもの。音楽では’74年、17歳で結婚した経験を歌にしたジャニス・イアンの「17歳の頃」(スーヴェニアーズ~ベスト・オブ・ジャニス・イアン 1972-1981: VICP-62787に収録)が有名、グラミー賞受賞曲です。



 

チェリッシュ



3. チェリッシュ

かわいらしいピンクの薔薇、『チェリッシュ』は1980年フランスで作られました。『チェリッシュ』といえば、ご存知クール&ギャングのヒット曲、’79年にジェームス”JT”テイラーがヴォーカルとして参加後の黄金時代にリリースされた大ヒット・アルバム「エマージェンシー」に収録されています。’85年9月全米第2位に輝いています。(『チェリッシュ』はベスト盤『ギャングソロジー19701984』(UICY-1162)に収録されています)


 

 スーパー・スター



4. スーパー・スター

『スーパー・スター』と言われるだけあって威風堂々とした赤薔薇、つる薔薇といても有名な品種です。1960年ドイツで作られましたが、つる薔薇として品種改良されたのは’71年アメリカで。
音楽界ではレオン・ラッセルがデラニー・ブラムレットと作った『スーパー・スター』が有名ですね。同曲は‘72年10月カーペンターズで全米2位の大ヒット(『シングルズ 1969-1973』(UICY-9732)に収録)になりました。

 

001_05.jpg ピンク・パンサー




5. ピンク・パンサー

1981年フランスで作られた、その名の通りピンクのかわいい薔薇です。音楽の世界では、言わずもがな’63年のピーター・セラーズ主演UA映画「ピンクの豹」(ピンク・パンサー)のテーマ曲(海外刑事モノのテーマ曲をコレクションしたアルバム『グレート・コップス』(UCCU-1053)に収録)。「ティファニーで朝食を」「シャレード」を手がけたヘンリー・マンシーニの作品です。

 

 001_06-2.jpg テキーラ



6. テキーラ

深紅というより炎の色に近い、まさに情熱的な薔薇で、1982年にフランスで作られました。『テキーラ』といえばメキシコのスピリッツ、ラテンのスタンダードとして有名ですが、同名異曲でプリテンダーズの『テキーラ』(『Last Of The Independents』 <輸入盤> に収録)も見逃せないですね。

 

マチルダ



7. マチルダ

中心部分が白く、ピンクの縁取りが可憐な薔薇。1988年フランスで作られました。音楽の世界で『マチルダ』と言えば「ワルチン・マチルダ」が有名ですが、年配の方にはむしろハリー・ベラフォンテの『MATILDA』(『グレイテスト・ヒッツ』(BVCM-37162)に収録)が懐かしいのではないのでしょうか。


 

チャールストン


8. チャールストン

チャールストン・ダンスのイメージで楽しげな印象を受けると思いますが、まさにその通り、赤と黄色と白がフリルになった、1963年フランス生まれのちょっと派手目で楽しげな薔薇です。
『チャールストン』『5匹の子豚とチャールストン』など『チャールストン』と名の付く楽曲は数多くありますが、渋いところで、ニノ・ロータの「ジュリエッタのチャールストン」など如何ですか?



 

オクラホマ


9. オクラホマ

紅色と言う表現がピッタリ当てはまる『オクラホマ』は1964年アメリカで作られました。音楽の世界で『オクラホマ』と言えば、何と言ってもリチャード・ロジャースとオスカー・ハマーシュタインJrによるミュージカル。「オクラホマ」と言う曲もありますが、「美しい朝」「飾りのついた四輪馬車」が有名ですね。
 


ローラ



10. ローラ

1981年フランス生まれの薔薇。音楽界では’44年のフォックス映画「ローラ殺人事件」のテーマ曲として有名です。同曲はクラリネットのウディー・ハーマンの演奏で全米4位の大ヒットになりました。(『ローラ』はチャーリー・パーカーの演奏(アルバム『エンジェル・イン・パリ』に収録)でもお楽しみいただけます)