Vol.15 秋に聴く 小田和正作品集

夏休みも終り、季節は徐々に秋らしくなってきました。
今回のSeasoning of Songsは、そんな、今の季節にぴったりの、「秋に聴く小田和正作品集」をお届けします。

今年6月実に5年振りとなるオリジナル・アルバム『そうかな 相対性の彼方』をリリースし大ヒットを記録、12月まで続く全国ツアーは各地でソールドアウト続出、と今だ衰えを知らない人気を誇る小田和正。今年3月には、オフコース結成35周年を記念してEXPRESS時代のオリジナル・アルバム15タイトルが紙ジャケット・シリーズで再発と、これまで以上に注目を集めている彼の作品群。そのオフコース時代から現在まで、小田和正が生み出してきた230曲以上の楽曲から、『歌詞に“秋”という言葉がある曲』『“秋”を感じさせるサウンドの曲』など、オフコース~ソロ時代から16曲を厳選しました。各曲の収録アルバムもジャケットと共に掲載してあります。

秋の夜長に、ドライブのお供に、年齢/性別を問わず心に届く、小田和正の名曲をぜひご堪能下さい!
(注:オフコースに関しては、オリジナル・アルバムのみを掲載しています)

まずはそのものずばり、“秋”という言葉が歌い込まれている楽曲からご紹介。

 

秋の気配(収録アルバム『JUNCTION/オフコース』(TOCT-25636)『LOOKING BACK』『自己ベスト』)

1曲目はオフコース時代の初期の代表曲、「秋の気配」です。この曲はオフコース11枚目のシングルとして1977年8月5日にリリースされました。その後同年9月5日リリースの6thアルバム『JUNCTION』に収録。ソロになってからも、キャリア初のセルフカバー・アルバム『LOOKING BACK』(96年2月1日リリース)で取り上げられ、250万枚を突破した大ヒットアルバム『自己ベスト』(2002年4月24日リリース)にも収録されました。自ら恋人に別れを告げる男の心情を描いています。歌詞の中に“秋”という言葉は登場しませんが、やはり別れの季節と言えば秋なのでしょうか・・・

 


YES-YES-YES(収録アルバム『I LOVE YOU/オフコース』(TOCT-25645)『NEXT/オフコース』)

1982年6月10日に24枚目のシングルとしてリリースされた、オフコース時代の代表曲の一つ。5人組としてのラスト・シングルでもありました。当時、歌中の「・・・もっと大きな声で・・・」の部分の前に、オフコースのコンサートに行く途中交通事故で亡くなった女性の「ねえ、私にも聴かせて・・・」という声が入っていると話題になりました。実際は歌の演出として意図的に入っていたのですが・・・セルフ・カバー・ヴァージョンはありませんが、現在展開中の全国ツアー「Kazumasa Oda Tour 2005 “大好きな君に”」でも演奏されていて、ファンを喜ばせています。

 


あの人に会える -a tune for sarazen’s jun crassics -(収録アルバム『Far East Cafe』(FHCL-9501)

オフコース解散後の1989年10月18日、自身のレーベル“Little Tokyo”の第一弾シングルとして「Little Tokyo」とのカップリングでリリースされました。本人が尊敬していたゴルファー:ジーン・サラゼンの名を冠したゴルフ・トーナメント「ジーン・サラゼン・ジュン・クラシック」のテレビ中継のテーマ曲として書き下ろされた曲です。因みに小田和正が主催する名物ゴルフ・コンペはこのトーナメントの会場と同じ栃木県にあるゴルフ・コースにおいて、毎夏最も暑さの厳しい時期に行われています。

 


風のように(収録アルバム『個人主義』(FHCL-2016)『自己ベスト』)

1997年8月29日、自身の監督第二作『緑の街』の同名主題歌のカップリングとしてリリースされました。当時、日産エルグランドCMソングとしてオンエアされていたので、耳馴染みの人も多いのではないでしょうか。アルバム『個人主義』にはそのライブ・ヴァージョンが収録されています。彼の楽曲に多く登場する“風”、“秋の空”といった言葉が、歌の描く情景を強くイメージさせてくれます。

 


君に届くまで(収録アルバム『sometime somewhere』(FHCL-1003))

小田和正初監督作品『いつかどこかで』のサウンドトラック盤として1992年1月25日にリリースされた、ソロとしては4枚目のアルバム『sometime somewhere』に収録されたミディアム・ナンバー。歌の冒頭では、「焼け付く日差しがまぶしい」季節なのですが、いつの間にか訪れる秋に、“君”を想う気持ちを強くする男の心情が描かれています。
 

 


秋ゆく街で(収録アルバム『秋ゆく街で オフ・コース・ライヴ・インコンサート』(TOCT-25633)

オフコース3枚目のアルバムとしてリリースされたライブ・アルバムのタイトル曲。これは1974年10月26日に中野サンプラザで行われたオフ・コース(この時代はこう表記していました)初のワンマン・リサイタル(これも当時の表現そのままです)の模様を収録したライブ盤で、彼等のオリジナル曲の他に、マーヴィン・ゲイやエルトン・ジョンなどの洋楽カバー曲も演奏されています。コンサートの為に書き下ろされたこの曲はライブ・ヴァージョンしかリリースされておらず、いずれセルフ・カバーで取り上げて欲しい1曲でもあります。

 

僕の贈りもの(収録アルバム『僕の贈りもの/オフコース』(TOCT-25631)『BETWEEN THE WORD & THE HEART』『LOOKING BACK』)

オフコース4枚目のシングルとして、1973年2月20日にリリースされた初期の代表曲で、ファンの間では先述の「秋の気配」等と並んで今尚絶大な支持を得ている楽曲です。同年6月5日にリリースされたファースト・アルバムのタイトル曲でもあります。当時はそんなに大きなヒットを記録したわけではありませんでしたが、本人にとっては思い入れの強い楽曲のようで、オフコース在籍中の1988年にはセルフ・リメイクしてソロ名義でシングル・カット。当時の第一生命『パスポート21』CMソングとしてオンエアされていました。2枚目のソロ・アルバム『BETWEEN THE WORD & THE HEART』にも収録され、1996年2月1日リリースの大ヒット作『LOOKING BACK』でも再度レコーディングしています。

 

冬が来るまえに(収録アルバム『SONG IS LOVE/オフコース』(TOCT-25635)

タイトル通り、一人きりの秋の日を描いた切ないバラード。1976年11月5日にリリースされたオフコース5作目のアルバム『SONG IS LOVE』に収録された初期の隠れた名曲です。オリジナルの新曲も勿論聞きたいのですが、こういった初期の隠れた名曲を、セルフ・カバーやライブ等でどんどん取り上げて欲しいものです。



ここからは“9月”というキーワードでご紹介。
 


その時はじめて(収録アルバム『Three and Two/オフコース』(TOCT-25639))

“2人”から“5人”になったオフコースの記念すべき第一弾、通算8枚目のアルバム『Three and Two』は、これまでのサウンドと違い、かなりロック色の濃くなったアレンジ/演奏が後の大ブレイクを予感させ、ヒット性を備えた楽曲が揃っている中期代表作です。中でもこの楽曲は、「時に愛は」を彷彿とさせるブルージーなギターがポイントの佳曲です。

 


I LOVE YOU(収録アルバム『I LOVE YOU/オフコース』(TOCT-25645)、シングル「キラキラ」カップリング)

1997年8月29日、自身の監督第二作『緑の街』の同名主題歌のカップリングとしてリリースされました。当時、日産エルグランドCMソングとしてオンエアされていたので、耳馴染みの人も多いのではないでしょうか。アルバム『個人主義』にはそのライブ・ヴァージョンが収録されています。彼の楽曲に多く登場する“風”、“秋の空”といった言葉が、歌の描く情景を強くイメージさせてくれます。



次は風/緑など、秋をイメージさせる言葉をキーワードに・・・。
 


風の坂道(収録アルバム『MY HOME TOWN』『自己ベスト』(FHCL-2020))

1993年9月22日にリリースされたソロ11枚目のシングル。当時はSHARP液晶ビューカムのCMソングとしてオンエアされていました。後にNHKのトーク番組のエンディング・テーマとしても使用されていました。ソロ・キャリアを代表する名バラードとしてファンの間でも長く親しまれています。彼の作品に頻繁に登場する“風”という言葉が、ここではかけがえのないものと重ね合わせて歌われています。サウンドも秋を感じさせる爽やかな仕上がりになっています。

 


緑の日々(収録アルバム『The Best Year of My Life/オフコース』『LOOKING BACK』『自己ベスト』)

4人組となったオフコース最初のアルバム『The Best Year Of My Life』からの第三弾シングルとして1984年9月21日にリリース、それから10年を待たずに今度はソロとして1993年3月25日にシングル・リリースした(TBCブライダルエステCMソングとしてオンエア)、オフコース後期の代表曲。歌詞の中に“緑”という言葉は出て来ないのですが、歌の相手である“君”への想いを色に表すと、暖かな緑になるのでは・・・とかなりこじ付けではありますが、“秋”の1曲として選びました。いつまでも名曲は名曲です。
 

 

緑の街(収録アルバム『自己ベスト』(FHCL-2020)

自身の監督作品第二弾『緑の街』の主題歌として1997年8月29日にシングル・リリース。本編ではエンディングで印象的に使われていました。歌詞の内容は、映画のストーリーと密接な関係があり、本人いわく「台本の一部」と言っても過言ではないほど。勿論、その映画を知らなくても、“忘れられない人”を待つ“僕”の気持ちが痛いほど伝わってくる名曲。2002年の大ヒット作『自己ベスト』でようやくアルバム収録されました。

 


たそがれ(収録アルバム『IT’S ALRIGHT OFFCOURSE SELECTION III 1984-1987/オフコース』シングル「まっ白」(FHCL-7001)カップリング)

1985年5月22日、オフコースの3年振り、4人となって初めてとなる全国ツアー中にシングル・リリース。その後、同年8月1日リリースの英語版アルバム『Back Streets Of Tokyo』に、「ENDLESS NIGHTS」として収録。11月30日にはフジテレビ系『木曜ドラマストリート』テーマ曲としてシングル・カットされました。日本語のオリジナル・ヴァージョンは、どのオリジナル・アルバムにも収録されておらず、2004年2月25日リリースのシングル「まっ白」のカップリングでもセルフ・カバーされましたが、こちらもまだアルバムには収録されていません。現在全国縦断中のツアー「Kazumasa Oda Tour 2005 “大好きな君に”」でも演奏されています。
 

君住む街へ(収録アルバム『Still a long way to go/オフコース』『LOOKING BACK2』)

オフコース最後のアルバム『Still a long way to go』からの先行シングルとして、1988年1月25日にリリース。同年6月1日アルバム・リリース後の最後の全国ツアーでは勿論、翌89年2月26日に東京ドームで行われた解散コンサート“The Night With Us”でも重要な位置で歌われていた、オフコースの正に最終章を彩った名曲です。オリジナルでは小田、松尾、清水のそれぞれがリードを歌っています。ソロ活動の初期からコンサートでは歌われてきましたが、セルフカバー・アルバム『LOOKING BACK 2』でようやくレコーディングされ、ファンを喜ばせました。現在のツアーでも勿論歌われています。

 

たしかなこと(収録アルバム『そうかな 相対性の彼方』(FHCL-2023)

最後は、現時点での最新シングルです。2005年5月25日に、最新アルバム『そうかな 相対性の彼方』の先行シングルとしてリリース。明治安田生命企業CM曲としてオンエアされていました。この歌で歌われる“空”や“風”は、きっと今の季節に吹く風や空と一緒のものだと感じさせてくれる、心が洗われる小田ナンバーの代表作です。

以上16曲ご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? 小田和正ファンの人には、もっとこんな曲があるとかあの曲の方が好きなどと同じ小田ファンの友達と意見を交わすきっかけに、また小田和正をまったく聞いた事が無い人には、彼の名曲の数々を耳にしていただけるきっかけになれば幸いです。