Vol.27 "オリジナル・ドリーム・ガールズ"、ザ・シュープリームス特集
さて今回のThe Seasoning of Songsは映画「ドリーム・ガールズ」のヒットでいまふたたび注目を浴びている「シュープリームス」を特集します。
60年代のアメリカで最大の人気を誇った女性グループ、まさにモータウン・レーベルの華であったシュープリームスの歴史は1958年のデトロイトにまで遡ります。デトロイトの男性グループ「ザ・プライムス」(後のザ・テンプテーションズ)と一緒に歌を歌っていたフローレンス・バラードがザ・プライムスのマネージャーに“姉妹でザ・プライメッツと言うグループを作ったら?”と言われたのがそもそもの始まり。フローレンスの姉が断ったため友達のマリー・ウイルソンを誘い、そのウィルソンがダイアナ・ロスを誘うかたちで集まった3人にもう一人ベッティー・マッグロウンを加えた4人組がその母体。’59年モータウン・レーベルのオーディションを受けましたがベリー・ゴーディーに“若すぎる”という理由で落選、1960年ルパインレーベルからデビュー、その後バーバラ・マーティンがベティー・マッグロウンと交代でメンバーに。’61年グループ名を「シュープリームス」に替えることを条件にモータウンと契約、同年バーバラ・マーティンが抜けダイアナ・ロス、フローレンス・バラード、マリー・ウイルソンのトリオの形になり本格デビュー。その後’60年代の彼女等の活躍はご存知のとおり。’64年から’69年の間になんと12曲もの全米No.1ヒットを放ちました。シュープリームスの多くの曲はモータウンのメイン・ソング・ライター・チームであったホーランド=ドジャー=ホーランドによって書かれたのです。
それでは彼女等のヒット曲をご紹介しょう。
「Where Did Our Love Go?」(愛はどこへ行ったの)
‘64年にレコーディングされ同年1位に輝いたこの曲、実はホーランド=ドジャー=ホーランドがザ・マーベレッツに書いた曲でした。それを知ったシュープリームスのメンバーは当初歌うのを嫌がったそうです。
「Baby Love」(ベイビー・ラヴ)
同じく’64年の全米/全英No.1ヒット。アメリカでは’64年10月25日から11月21日まで4週間No.1の座に輝きました。これももちろんホーランド=ドジャー=ホーランドによる作品。’65年のグラミー賞でベスト・R&Bレコーディングにノミネートされました。
「Come See About Me」(カム・シー・アバウト・ミー)
ビルボード・ホット100(シングル・チャート)で’64年と’65年に2度No.1ヒットを記録したこれも同じライター・チームによる作品。この曲は’67年Jr.Walker&The All Staresで再びヒットしています。
「Stop! In The Name of Love」(ストップ!イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ)
シュープリームスの、と云うより20世紀のポップスのなかで最も有名な曲のひとつといえましょう。ソング・ライターのラモント・ドジャーが恋人と喧嘩、彼女が出ていこうとしたときに、ラモントが“神の名において止まってくれ”と叫んだのがアイデアになったと言われています。この曲も’65年3月に全米No.1を獲得しています。
「Back In My Arms Again」(涙のお願い)
ホーランド=ドジャー=ホーランドの作品で’65年6月全米No.1獲得。
モータウンのスタジオ・エンジニアで開発された8トラック・レコーディング・システムで録音された最初の作品のひとつと言われています。
「I Hear A Symphony」(ひとりぼっちのシンフォニー)
‘66年の夏に放った全米No.1ヒット、’66年9月4日から4週間ビルボードのトップを飾りました。シュープリームスにとってもモータウンにとっても代表曲となっただけでなく16年後の’82年フィル・コリンズの歌で今度は全英でNo.1を飾りました。歌の内容は母親が年頃の娘に向けた応援歌。”恋をあせっちゃだめよ、あなたは待っていればいいのよ”と云うもの。この歌の元歌はゴスペル・ソングでドロシー・ラヴ・コーツ&ザ・オリジナル・ゴスペル・ハーモネッツが歌ったYou Cant Hurry Godとも言われています。
「You Keep Me Hangin’ On」(キープ・ミー・ハンギン・オン)
‘66年3週にわたって全米No.1を記録。これまた、ホーランド=ドジャー=ホーランドの作品。ウイルソン・ピケットやロッド・スチュワートもカヴァーしましたが、ヴァニラ・ファッジによるロック・カヴァー(全米NO.6)とキム・ワイルド(全米No.1)がチャート上成功をおさめています。
「Love Child」(ラヴ・チャイルド)
‘68年これまた3週にわたって全米No.1を記録。上記楽曲のようにNo.1ヒットを数多く記録したシュープリームスの曲のなかでも最も売れたシングルとされています。
※上記楽曲はダイアナ・ロス&ザ・シュープリームス『アルティメイト・コレクション』(UICY-6031)に収録されています