Vol.47 "iPhone4のTVコマーシャル・ソング、なんて曲?...『君微笑めば』"編
現在OA中のApple iPhone 4のTVコマーシャル、皆さんもうご覧になりましたか?
それぞれのバージョンがルイ・アームストロングが歌う「君微笑めば~When You're Smiling~」とマッチした感動的な作品になっており、巷の話題となっています。
同じルイ・アームストロングが歌う「この素晴らしき世界」はこれまで幾度となくCMに使われ、いまや誰もが知ってる楽曲といっても過言ではないほど有名ですが、一方、今回使用された「君微笑めば~When You're Smiling~」は、ルイ・アームストロングの代表曲に挙げられるにもかかわらず、知っているようでいまひとつ知らなかった、という方も多いのでは…
ということで、今回のフジパシフィック音楽出版"The Seasoning of Songs"は『君微笑めば』をフィーチャーいたします!
ラジオ放送開始(1920年)に代表されるように、1920年代のアメリカはまさに”ローリング・トゥエンティー”と呼ばれた華やかな時代でした… チャールストン・ダンスが流行、’23年にはコットン・クラブがオープンし、ガーシュウィン、リチャード・ロジャース、ジェローム・カーンらによるミュージカルから多くのヒット曲がうまれ、’27年にはトーキーによる「ジャズ・シンガー」が公開される、などなど、アメリカ中が続々と誕生する新しい文化に浮かれていました。
そんな華やかな’20年代最後の年:‘29年、アメリカは10年近くに渡って謳歌してきた華やかな時代が一変、大恐慌に見舞われます。
しかしながら、”音楽は不況に強い”とのジンクスそのままに、この時期、「捧ぐるは愛のみ」(’28年)「スターダスト」(’29年)「雨に歌えば」(’29年)などの名曲が生まれています。
「君微笑めば~When You're Smiling」も1928年につくられました。
マーク・フィッシャー、ジョウ・グッドウィン、ラリー・シェイの作詞・作曲によるこの曲、ミュージカルや映画のために書かれたものでなく、’28年にミルズ・ミュージックから出版されました。
ミルズ・ミュージックはデューク・エリントンのマネージャーであったアーヴィング・ミルズの音楽出版社、エリントンがその前年にあたる’27年にコットン・クラブのレギュラーになっているので、ひょっとするとエリントン楽団への売り込み曲だったかもしれません。
この曲の最初のレコーディングは’29年のルイ・アームストロングによるものですが、エリントンも’30年にレコードを出しています。
歌の内容は”微笑んでいれば世界も微笑みかけてくれる、微笑めばお日様が輝き、泣くと雨が降る、だからいつも微笑みをたやさずに…”と言うもの。チャップリンの「スマイル」にも共通する内容です。
ちなみにこの歌にはバースがついています。
”目の見えない親切な男性が歩けない友達をたすけていた、そしてこの歌を歌っていたんだ”と言うこれも感動の内容ですね。
さて、ルイは’29年以後、’32年、’56年にもこの曲をレコーディングしており、iPhone4のコマーシャルで使用されているバージョンは’56年のもの、冒頭に聞こえるトロンボーンはトラミー・ヤングの演奏です。
アップテンポでもスローテンポでも演奏されるこの曲は、ルイ、エリントンの他にも数多くのアーティストによってカヴァー/レコーディングされています。
代表的なものを挙げると、ビリー・ホリデイ、フランク・シナトラ、ジュディー・ガーランド、ディン・マーチン、ドリス・デイ、ナット・キング・コールなどなどで、いずれも素晴らしい作品です。
現在リリースされている『君微笑めば』収録アルバム
BEST PRICE:ルイ・アームストロング・ベスト(UCCU-9706、\1,200-tax in-)
『君微笑めば』をフィーチャー、最新ベスト
ホエン・ユー・スマイル~ベスト・オブ・ルイ・アームストロング(SHM-CD、UCCU-1279、\2,500-tax in-)、
10/20発売!